改正マンション建替え円滑化法でも進むマンション格差


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今日はさくら事務所マンション管理組合コンサルタントつっちーの、改正マンション建替え円滑化法に関する勉強会。

マンション建替えの現状を見てみると、ストック総数601万戸に対し旧耐震基準は106万戸で(平成25年末時点)、
建替え実績は累計で196件。戸数にして約15500戸です(平成26年4月時点)。

現状、ほとんど建替えは進んでいません。

建替え実績の推移でみると、建て替え円滑化法(改正前・先の法律)の立法前は46件、立法後に92件と倍増し、そのうち円滑化法による建て替えは50件だったようです。

建替えが進まない理由は議決権などさまざま挙げられていますが、もっとも大きな理由はやはり経済的負担でしょう。

そこで、今回の法改正ポイントは大きく2つあります。
1、敷地売却制度の創設
2、容積率の緩和特例 

1、敷地売却制度の創設
区分所有者4/5以上の賛成、つまり80%の区分所有者賛成によって敷地を売却、区分所有を解消することが可能になりました。
(RC造で耐震性能(Is値)が0.6未満であることの認定が必要)

2、容積率の緩和特例
特定行政庁によって容積率緩和が認められるケースができました。

この改正によって期待できる効果がいくつかあります。
〇マンション再生の選択肢が広がる
〇建設されるマンションの論点がない(新しく建てる建物の協議の必要がない)ため、合意形成が比較的容易になる
〇売却後はマンション以外の用途も可能になり、敷地が高く売れる可能性がある
〇残余財産含めて売却による金銭分配が可能であり、住戸数が減少するケースでも合意形成は相対的に容易
〇借家人(築古物件ほど割合が高くなる)や担保権者などの取り扱いが細かく規定され(これまでは基準なし)、明確化されたことで円滑な事業運営が可能

とはいえ、そう簡単な話ではなく、今後もいくつかの課題が残ります。
〇耐震性不足のマンションに限定されていること
〇容積率緩和のハードルが高い
〇資金調達に関するケアはなく、手法の検討も必要

とくに容積率緩和に関しては、マンション建替型総合設計制度において絶対高さ制限や斜線制限、日影規制は緩和されていないため、たとえ容積率が緩和されても実質的に利用できないケースも多いと想定されます。

結局のところ現時点では、これまでと同じく都心部利便性の高い、かつ新規供給が少ない一部エリアにおいて有効ではあるものの、大半のケースでは建替えは困難で、基本的には所有マンションのできるかぎり長寿命化をめざし、修繕積立金を確保しておくことが重要ですね。

たとえば今後はマンションの空室増大・ゴースト化防止のために耐震性不足に限らず、空室増大による事実上の機能停止などへの適用、そのための供託等の具体手法の検討もあったりすると面白いのかもしれません。